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絵本の感覚でわかる感染症のお話

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絵本でわかる感染症のお話

悪玉菌と病原性因子

人が生活する空間は微生物であふれています。
細菌・真菌・ウイルスなど、毎日我々の体と接触しています。微生物の中には、体内に入ると悪さをして感染症になるものがあり、軽症である風邪・食中毒・皮膚炎、重症である肺炎・HIVなどが例えられます。

人の体内にも微生物であふれています。
例えば一般的に悪さをしない大腸菌(常在菌)や、逆に良き働きをする乳酸菌(善玉菌)がありますが、なぜ病原菌・悪玉菌は常在菌・善玉菌と違い、体に悪さをするのか?
それは微生物の「病原性因子」によります。病原性因子は様々な種類があります、例えば毒素を放出するもの(黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌など)、免疫力を弱体化するもの(HIVウイルスなど)などが挙げられます。

ばい菌侵入初期段階:パートロールとの遭遇戦

病原体が体内に侵入した場合、血中でパトロールしている戦闘力の高い好中球(白血球の一種)がまず奴らを遭遇次第やつけます。好中球にやられてるのは個体が大きい細菌ですが、個体の小さいウイルスは細胞に入って姿を潜んで増殖します。好中球には細胞内を捜査する権限がないので、とても対応に困ります。
しかしウイルスは細胞の養分を吸収して増殖したり、毒素を出して細胞を傷つけたりするので、細胞が劣化していきます。この時、異常細胞を見つけて破壊するNK細胞(リンパ球の一種)が怪しい細胞を見つけ、細胞まるごと破壊します。
好中球やNK細胞の働きによって、病原体がある程度退治されます。免疫が強い人はこの段階で病原体を全部滅ぼし、無症状か軽易な症状で治ってしまうこともあります。

尚、侵入された細胞が多く、ある程度NK細胞の破壊行為が繰り返されると、細胞が大量に死亡し、組織や臓器がダメージを受けたせいで赤く腫れたり痛くなったり、炎症が起きます。風邪の時に喉痛かったり、食中毒の時お腹痛かったりするのはこれが原因なのです。

NK細胞は破壊しか興味なく、破壊した後の細胞の破片はマクロファージが片づけなければいけません。しかし、病原体の増殖が多いとNK細胞の働きだけで全部滅ぼされません。生き残った病原体は更に別の細胞を探し、悪さを続けます。
更に、ウイルスの中には破壊された細胞の残骸で待ち伏せして、掃除しに来るマクロファージを攻撃したり侵入したりするものもあります。(例:HIVウイルス)

ばい菌侵入第二段階:全力で反撃される

NK細胞や好中球の第一弾攻撃で勝利しなかった場合、第二段階に移ります。
免疫システムと神経システムが本気出して、病原体との戦争を取り掛かり始めます。

免疫システムは「軍隊」を統括しています

パトロールのNK細胞や好中球が対応しきれない病原体に対して、更なる好中球、またはリンパ球(B細胞、T細胞)が作られ、これらの戦士が戦場へ向かうことになります。

神経システムは「戦場環境」を制御しています

体温を調整し、発熱することにより、白血球などが元気で動ける温度・病原体などが元気じゃなくなる温度になる事により、病原体の戦闘力を削り、免疫システムの戦闘力を強化します。

神経システムがもたらす体温上昇は、病原体の活動力・増殖力を阻害しますが、発熱するため、患者にも負担を与えてしまいます。

免疫システムは白血球・リンパ球の大量生産に、身体のエネルギを回してきたため、患者は疲労感・倦怠感に満ちてしまいます。

尚、神経システム・免疫システムの頑張りによって、病気が治っていきます。戦争の後は細胞の破片、病原体や免疫細胞の死骸にあふれており、これらを掃除するため、体外へ排出するよう体が動きます。例えば風邪が治りかけの時は痰や鼻水が多いのはこういった原因です。

今回は感染症の過程と症状について語りましたが、出場したNK細胞・好中球・マクロファージ・T細胞・B細胞などの戦士たちはどういう役割分担で、誰が何を得意であるとか、下記記事で語ります。

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