技術で分ける遺伝子検査

遺伝子検査で使われる技術


遺伝子検査は、技術的に言うと特定の遺伝子配列の有無を判断したり、ある領域の遺伝子配列の詳細を調べる事を目的にし、更にその結果を医療行為または健康カウンセリングで応用しています。

その為、使っている技術は主に遺伝子の「増幅」と「解読」計2種類になります。

遺伝子の増幅

増幅」は検体の中に特定配列を調べる手段として、その特定配列を増幅させて、増幅産物の有無を確認する。

手法

  • PCR法、LAMP法など

用途

  • 感染症遺伝子検査
  • がん遺伝子検査(がん個別化医療)
  • 遺伝学的検査(変異配列PCR)

遺伝子の解読

解読」は検体の中にある遺伝子(ほとんどの場合は人の遺伝子)の遺伝子配列の順番を読み取る事である。

手法

  • DNAシークエンシング法各種

用途

  • 遺伝学的検査(変異解析)
  • NIPT検査(新型出生前診断)
  • ヒトゲノム解析

遺伝子増幅法の詳細


遺伝子増幅法が特定配列を検出する原理
遺伝子増幅法が特定配列を検出する原理

詳細な技術的解説

開発中の遺伝子増幅法を含め、既に多くの人がご存知のPCR法以外に、TMA・LAMP・ICAN・SDAなど様々な技術があります。色んな方法はありますが、特定領域の配列のみを増幅される目的に変わりはありません。増幅所要時間・正確性・コスト・定量性・反応条件などが異なります。

スクロールできます
増幅法PCRLAMPTMAICANSDANASBA
開発企業Cetus(Roche)
*特許切れの為、全ての企業が参入可能
栄研化学Gen-prob
(中外製薬)
宝酒造BD
(大塚製薬)
オルガノンテクニカ(カノイス)
特異性
定量性不可不可不可不可不可
増幅時間1時間15分30分1時間30分1.5時間
反応温度変温定温定温定温定温定温
装置コスト高い安い中程度不明中程度中程度
様々な遺伝子増幅法

様々な遺伝子を増幅させる方法がありますが、現在臨床で使われているのは主にPCR法とLAMP法2種類です。

実際の応用例

感染症遺伝子検査

病原体(菌やウイルス)が持つ特異的は遺伝子配列(人間には持ってない)をターゲットにして、増幅させます。主にPCR法とLAMP法2種類の増幅法があります。

感染されていない場合は増幅されませんので陰性とし、感染されている場合は標的の遺伝子配列が大量に増えてしまい検出され、陽性になります。

環境・食品遺伝子検査

原理は感染症遺伝子検査とほぼ同様です。違いは人の検体(血液や尿など)ではなく、環境(風呂場の水)や食品などを使って検査を行い、環境や食品が菌やウイルスに汚染されてるのかをチェックします。

例えば、環境の場合はレジオネラ、食品の場合はサルモネラや出血性大腸菌などがあります。

がん遺伝子検査

がんの原因となる遺伝子の異常を、特異的な配列をターゲットとして増幅させます。分子標的薬類の抗がん剤は特定な原因で発生したがんのみに大きな効き目を持つため、その原因によって発生したがんかどうかを判断する検査に用いられ、その結果の陰性/陽性によって分子標的薬の不使用/使用を決めます。

遺伝学的検査

既に遺伝性の疾患になってる患者や、その疾患がなくても子孫で発病するリスクのある人は、遺伝子の異常な配列が原因です。遺伝子にどのような異常があった場合どのような異常遺伝子配列になるのかは既に判明していることなので、異常配列をターゲットにし増幅させ、その結果で遺伝性の疾患の有無を判断します。

遺伝子解読法の詳細


詳細な技術的解説

DNAシークエンシング(シークエンス解析)は標的の遺伝子配列を直接解析する手法であり、様々な分析手法(DNA切断・質量分析・DNA合成)がありますが目的は同じです。

遺伝子増幅法との違いは、遺伝子増幅法は特定なターゲット配列を検出する為という目的があるのに対し、DNAシークエンシングはとりあえず全部の配列を読んでしまうというやり方である。

実際の応用例

遺伝学的検査

遺伝学的検査は具体的な検査項目によって、PCR法またはDNAシークエンシングを使用する場合がある。遺伝子増幅法であるPCR法が予め有無を確認したい特定の変異配列(遺伝性疾患の原因またはリスク)をチェックする手法と違い、DNAシークエンシングはとりあえず遺伝子配列を読み込んでから、変異配列を調べる方法である。

遺伝子解析

DNAシークエンシングで遺伝子配列を全部調べ出し、そこからビッグデータを用いて、将来色んな疾患になるリスクや、体質などを分析します。現在ではまだ色んな所では発展途上な技術ですが、分析結果の精度が上がる事に従い、将来の医療行為や健康管理ではスタンタードな分析になってくると予想される。

他の分類方法を見る


遺伝子検査と他の検査

臨床検査は色んな種類があります。その中で遺伝子検査は何が特殊なのか?他の臨床検査とどの様な違いがあるのか?まず遺伝子検査とその他の検査の違いについて解説します。

  • 血液検査
  • 生化学検査
  • 抗体検査
  • 遺伝子検査

用途で分ける遺伝子検査

遺伝子検査は、感染症の検出から、遺伝性疾患の特定、がんの個別化医療における応用、将来の健康状態の予測など様々な用途があり、それぞれ似てるものもあれば全く異なるものもあります。

  • 感染症遺伝子検査
  • がん遺伝子検査
  • 遺伝学的検査
  • 遺伝子解析