高血圧治療薬が新型コロナウイルスを治療できる可能性

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高血圧治療薬と新型コロナウイルス

この新型肺炎の時期で、臨床現場で新型コロナウイルスに対して色んな研究がおこなわれておりました。
そんな中、気になる論文がいくつかあって、高血圧治療薬が新型コロナウイルスを治療できる可能性が示唆されたため、ここで整理してみたいと思います。
薬学の専門な知識がないと難しいと思いますが、なるべく分かり易く解説します。

元々高血圧治療薬は新型肺炎に悪いと思われてた

実は元々高血圧治療薬は新型肺炎に悪いと思われていた。
それは何故なのか?
それは高血圧治療薬のメジャーの1種であるACE阻害薬の効き方と、新型コロナウイルスの感染の仕方に共通点があったからです。

ACE阻害薬の効き方

ACE阻害薬とは:名古屋徳洲会総合病院サイトより

血圧は身体の中の色々な仕組みによって調節されていますが、その中で大きい役割をもっているのがアンジオテンシンⅡという物質です。アンジオテンシンⅡには、血管を収縮させたり、腎臓でのナトリウムや水分の排出を抑えて血液量を増やす作用があり、血圧を上げる働きをしています。このアンジオテンシンⅡは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用を受けてアンジオテンシンⅠから作られます。ACE阻害薬はアンジオテンシンⅡが作られるのを防ぎ、血管を広げて、血圧を下げます。

そんな中、ACEとは:アンジオテンシン変換酵素(Wikipedia)

アンジオテンシン変換酵素(-へんかんこうそ; 英: angiotensin-converting enzyme、ACE、EC 3.4.15.1)とは不活性体であるアンジオテンシンI (英: angiotensin I、Ang I) を、生理活性を持つアンジオテンシンII (英: angiotensin II、Ang II) に変換する反応を触媒する酵素(プロテアーゼ)である。

分かり辛いと思うので、一言でまとめると:

ACEは血管を収縮させる働きがあるタンパク質であり、高血圧治療薬がACEを無効化することによって血管が拡張され、血圧が下がる。

これがACE阻害薬の働きです。

新型コロナウイルスの感染の仕方

続いて、新型コロナウイルスの感染の仕方に関してですが、これもACEが関与しています。
ウイルスは細菌と違い、自身で増殖する事は出来ない。なのでウイルスは人の細胞の中に進入して、細胞を乗っ取って自分の複製ウイルスを作らせます。そしてウイルスが細胞内で満タンになったら細胞が死亡し、ウイルスが細胞から拡散し更に別の細胞を進入する。
その進入する過程で、ウイルスは何かの掴み所(受容体)が必要です。何かを掴めないとウイルスは細胞とくっつける事が出来ないし、くっつけないと喰付けないとウイルスへの侵入作業が出来ないでしょ?
そして、この様な事が現在明らかになっている。

新型コロナウイルスはACEを掴んで細胞へ侵入している

つまりACEは新型コロナウイルスが細胞を感染する際に使ってる受容体は正にACEだった。

▲ 因みにSARSコロナウイルスも同じです。

ACE阻害高血圧治療薬も、新型肺炎も、重篤な肺障害を起こす

ACEは、高血圧治療薬にも新型コロナウイルスにも深く関わっている事。
更に両者とも重篤な肺障害を引き起こす事、非常に気になるところです。
そこにはどんなカラクリがあるのか?

ACE阻害薬による肺障害

日本内科学会雑誌第96巻第6号抜粋

CE阻害薬がサブスタンスPやブラジキニンの分解を阻害し,増加したサブスタンスPやブラジキニンが気道の咳反射を亢進させることが考えられている.他の副作用として血管神経性浮腫や気道攣縮を認めることがある.血管神経性浮腫はエピネフリンや副腎皮質ステロイドの投与で改善するが,重度の血管神経性浮腫による上気道閉塞をきたした場合,呼吸不全や死に至ることもある

新型コロナウイルスによる肺障害

新型コロナウイルスに感染した患者では、重篤な呼吸障害になって死に至るケースは既に沢山報道されています。
厚生労働省検疫所サイト抜粋

これまでのところ、このアウトブレイクで報告された主な臨床徴候と症状には、発熱、呼吸困難、および両側肺浸潤を示す胸部レントゲン写真が含まれます。2020年1月24日の時点で、おおむね武漢市においてヒトからヒトへの感染が確認されていますが、中国国内や国外の他の場所でも確認されています。

中国の研究者らが24日に英医学誌ランセットに発表した41の初期症例に基づいた報告によると、新型ウイルスの症状の一部はSARSと似ている。
患者は全員肺炎になり、多くは発熱し、観察例の4分の3でせき、半数以上で呼吸困難の症状がみられた。一方で、鼻水やくしゃみ、喉の痛みは少ないという「重要な違い」があるという。

新型コロナウイルスの患者は高血圧合併してる人も多い

新型コロナウイルスは体が弱い高齢者に感染しやすいのは承知の上、同様に高齢者において高血圧の人も多く、そんな中ACE阻害薬を処方されている人も少なくないでしょう。
そこでこういう事に凄く迷うでしょう。

高血圧の新型肺炎患者に、肺障害のリスクがあるACE阻害薬を投与するのはとても危険ではないか?

新型コロナウイルスもACE阻害薬もACEに関わってるので、お互いに悪い反応は起きないか?

新型コロナウイルスに感染してしまった高血圧患者に対してACE阻害薬を処方停止と決断した医師も沢山居ます。
すごく困ったところです。

専門家:新型肺炎と高血圧の合併患者に対してむしろACE阻害薬を使うべきでは?


上海交通大学医学部付属病院循環器科の施教授からは異なる観点を語った。
出典:新冠肺炎患者降压,治疗仍应使用ACE抑制剂!
施教授からの話によると、今のところACE阻害薬と新型コロナウイルスの相乗肺障害に関する臨床情報は不明だが、理論上心配は無用との事。
更に、ACE阻害薬ACEを阻害する事によって、新型コロナウイルスが感染で掴めないといけないACEが壊されたため、逆に感染を阻止するではないかとの見解もある。
まだまだ情報が足りていないが、新型化コロナウイルスに感染してしまった高血圧患者さんは心配は無用みたいだ。

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